はじめに
『マルホランド・ドライブ』は2001年に製作された、デヴィッド・リンチ監督による映画です。
この作品は、非常に難解かつ視聴者の心を鷲掴みにするファクターが散りばめられており、後世に語り継がれています。
本記事では、『マルホランド・ドライブ』のはじまりから、評価までリンチの発言も含め、その深淵なる映画について探究していきます。
出典:iMDb
- 監督・脚本:デヴィッド・リンチ
- 主演:ナオミ・ワッツ、ローラ・ハリング、ジャスティン・セロー
- ジャンル:ミステリー、スリラー、ドラマ
- 上映時間:146分
- 公開年:2001年
- 受賞歴:カンヌ国際映画祭 監督賞(デヴィッド・リンチ)、アカデミー賞 監督賞ノミネート
作品誕生の経緯
当初はTVシリーズとして企画されていたもので、ツイン・ピークスのスピンオフ作品としてパイロット版が製作されましたが、放送局のABCネットワークの担当者はこの作品を気に入らず、お蔵入りになりました。
その後、この企画を映画にするため、フランスの配給会社Canal+が出資して実現した。
最初は明確なアイデアがなかったそうですが、瞑想をすると「スーッと」アイデアが湧き起こり、祝福を感じたそう。
ストーリーと解釈
前半部分のパートは、ハリウッドに夢を抱くベティと記憶を失ったリタが、リタの身元を思い出すためのミステリーとして進んでいきます。
後半は、あるキッカケを経て登場人物の名前も変わり、出てくる人物は同じでも同じ世界とは思えない展開になります。
「夢」と「現実」の二重構造との解釈が大半を占めるようですが、見た人によって如何様にも解釈できる余白があります。
これは、リンチ映画の通例であり、そこに魅力が詰まっています。
主要キャラクターと俳優
たくさんの興味深いキャラクターが登場しますが、主要キャラは以下の3人です。
主要俳優/キャラクター
ナオミ・ワッツ(ベティ/ダイアン)
ローラ・ハリング(リタ/カミラ)
ジャスティン・セロー(アダム)
この映画を機に、ナオミ・ワッツとリンチの友情が芽生え、良い関係を築くことになります。
出典:iMDb
のちに、ワッツは「インランド・エンパイア」、「ツイン・ピークス・ザ・リターン」にも出演。
映像と演出の特徴
光と影の描き方が特徴的で、前半部分は「光」が強調され、反対に後半は、よりダークで哀しみのトーンが漂っていました。
アンジェロ・バダラメンティのテーマ曲も、この物語に命を吹き込んでいました。
有名な「クラブ・シレンシオ」シーン
中盤の「クラブ・シレンシオ」のシーンは、とても強力で特徴的で暗示的なシーンです。
ここで、2人(ベティとリタ)は何かに気付くことになります。レベッカ・デル・リオの「Llorando」が引き金になり、共に涙を流します。
主要テーマとメッセージ
『マルホランド・ドライブ』のストーリーの核となるのは、ハリウッドの表と裏、というものです。
タイトルの 『マルホランド・ドライブ』は、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスを東西に走る有名な山岳道路であり、美しい夜景やハリウッドの豪邸街が並びます。
この場所は劇中でも出てきます。
ハリウッドでの成功と闇を描きながら、より壮大なテーマを内包していると感じます。
これは、スピリチュアルな体験をしているリンチならではだと感じていて、人それぞれだったり人生経験によっても感じ方が変わります。
劇中で、青い箱が出てきますが、リンチはこの箱のことを『これがなんなのか、検討もつかない。』と語っています。
映画の評価と影響
『マルホランド・ドライブ』は、2001年度のカンヌ国際映画祭にて監督賞を受賞しました。
そのほか、セザール賞(最優秀外国映画賞)、ニューヨーク映画批評家協会賞(作品賞)、全米映画批評家協会賞(作品賞)などを受賞。
2016年にBBCが発表した、「21世紀の最高の映画100本」で堂々の1位に選出される。
『マルホランド・ドライブ』を見るときのアドバイス
最後に、この映画を見るときに役立つであろう、リンチの言葉を引用します。
『考えずに、ただ感じればいい。』
リンチは、一つの解釈ではなく、人それぞれの解釈があっていいと語っていますよね。
まとめ
『マルホランド・ドライブ』は個人的にも、デヴィッド・リンチの世界にハマるキッカケにもなった作品なので、大事な作品です。
この映画は、とても奥が深い映画だと思いますし、何回見ても新たな視点、解釈を発見できます。
みなさんの感想も聴かせてください。