はじめに
デヴィッド・リンチの創造性と、超越瞑想(Transcendental Meditation)の関係を無視することは出来ません。
なぜなら、リンチは1973年(当時27歳)に、超越瞑想を始め、それ以来1日2回の瞑想を毎日行ってきたと、
2006年の書籍『
その後に多くの作品を創作してきたのですから、超越瞑想が何かしらの影響を与えていると考えても不思議はないと思うのです。
ということで、デヴィッド・リンチと超越瞑想(TM)の関係性について深ぼっていきます。
デヴィッド・リンチが超越瞑想を始めた理由
先ほども述べましたが、リンチが超越瞑想を始めたのは1973年です。
1973年といえば、『イレイザーヘッド』を制作中のことで、リンチは当時を振り返り、瞑想を始めたころ、当時の妻であるペギーに対し怒りをぶつけていたと振り返ります。
瞑想について調べていたある日、リンチの妹に超越瞑想のことを聞き、「その声には何かがあった。」らしく、試してみることにしたそうです。
超越瞑想(TM)とは?
まず、超越瞑想とはなんなのか?について見ていきましょう。
超越瞑想は、インドの聖者マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーによって1950年代に広められた瞑想法です。
- 1回20分、目を閉じて座り、特定のマントラ(音)を静かに心の中で繰り返すだけ。
- 特別な呼吸法や集中の必要なし。
という瞑想法で、数ある瞑想の中でも簡単と言われています。
このマハリシですが、ビートルズとも縁が深く、メンバー全員でインドに瞑想を学びに行っていたと言われています。
デヴィッド・リンチが語る超越瞑想(TM)について
リンチが行った、超越瞑想と創造性と平和についての講演ツアーを記録したドキュメンタリー映画です。
日本語字幕がついてますので是非!
超越とは何か?
この映像でリンチが語っているのが、『超越する』とは、相対性や二元性を超えた場所(内側)にある『統一場』を体験するということだということです。
そこにあるのは
・純粋で
・枠のない
・無限の意識
と語っています。
表面で見ている思考の世界ではなく、ピュアで全てがひとつになった世界という認識でしょうか。
また、意識を拡大出来るというのも興味深いですね。
意識のボールが大きくなれば、キャッチできるアイデアも大きくなる。と。
デヴィッド・リンチ作品と超越瞑想の関わり
では、実際にリンチ作品に、この超越瞑想の概念が象徴された作品はあるでしょうか。
リンチ作品では、『光』と『闇』の両極端さが見られます。
これは、二元性です。表面意識の状態ですね。
マルホランド・ドライブは、2つ、3つの異なる次元のような描写が見られました。
より顕著なのは、『ツイン・ピークス・ザ・リターン』でしょうか。
この新シリーズでは、クーパーが元の世界に戻るために様々な非現実的な場所をいくつも通らなくてはなりませんでした。そこはまるで、潜在意識の中のようです。
リンチの解釈では、心には、いくつも層があり、より深い場所に統一場があると説いています。
うーん、うまく言語化できないのがもどかしいですが、みなさんも、その辺を意識して見返してみてはいかがでしょうか?
デヴィッド・リンチ財団とTMの普及活動
リンチは、2005年に「デヴィッド・リンチ財団(DLF)」を設立しました。
この団体は、戦争帰還兵、学校教育、囚人、更生プログラムなどへのTM導入支援をする団体として立ち上げられました。
瞑想で心に平安が訪れれば、世界が平和になると考えてとのことです。以下リンチの声明です。
2005 年、私たちは意識に基づく教育と世界平和のためのデヴィッド リンチ財団を設立し、瞑想を学びたい世界中のすべての子供たちが瞑想を学べるようにしました。現在、財団は世界中のあらゆる国の大人と子供たちに TM を積極的に教えています。
なぜ私たちはそれができるのでしょうか? それは、財団や慈善家、そして他人の苦しみを和らげたい、そしてより良い世界を作る手助けをしたいと願う一般の人々の寛大さのおかげです。
まだ瞑想をしていないなら、私のアドバイスに従って始めてください。それはあなたが今までに下した最高の決断となるでしょう。
まとめ:リンチ作品をより深く理解するために
リンチの瞑想の話は、やったことのない人には、わからない部分も多いと思います。
実際、私も今の時点ではTMを体験していないので、それがどのようなものか知りません。言葉では理解できても、それを超えることはないですね。
2025年の4月に超越瞑想(TM)を体験することになりました。
ただ、その概念やリンチの思想を知っていれば、より作品への解釈も広がると思います。
まさに、意識のボールですね。