デヴィッド・リンチと『DUNE/砂の惑星』

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デヴィッド・リンチが1984年に監督を務めた映画『DUNE/砂の惑星』ですが、リンチ自身も「失敗」だったと語る作品でもあります。

この記事では、制作過程やその影響、作品に対する評価について掘り下げます。

『DUNE/砂の惑星』とは?


出典:eiga.com

 

フランク・ハーバートのSF大河小説『デューン/砂の惑星』を原作とした作品です。

1970年代には、アレハンドロ・ホドロフスキーにより映画化が進められたが、頓挫していました。

長い間映画化が難しいと言われながらも、非常に注目されていた作品であった中、その後、1984年にデヴィッド・リンチに白羽の矢が立てられることに。

2021年には、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督でリメイクがされている。

監督としてのデヴィッド・リンチの選出経緯

1980年の『エレファント・マン』で大成功したリンチは、多方面から注目を集めていました。

そんな中、イタリア出身の映画プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスがリンチに接触し、『デューン/砂の惑星』の監督に抜擢されました。

補足説明

ディノ・デ・ラウレンティスは、リンチが大好きなフェデリコ・フェリーニの『』をプロデュースしています。

制作中の困難と葛藤

ファイナルカット権

映画の「ファイナルカット」は、編集作業の最終版となるバージョンのことを指します。監督や編集者がすべての映像、音声、音楽、エフェクトなどを完全に仕上げた状態で、今回はリンチ監督ではなく、スタジオ側にこの権利があったそうです。

これにより、本望ではない仕上がりになってしまったと語っています。

制作費と作品の制約

予算と商業の関係上、作品には2時間17分までの尺しか与えられず、そうとう苦しんだようです。

それが作品の都合ではなく、商業的な理由からなので、リンチにとってとても受け入れ難いことだったでしょう。

▼参考映像

興行成績

映画は約4,000万ドルの予算に対して、興行収入は3,000万ドル程度に終わりました。これにより、続編の計画も中止されることになります。

映像表現の特徴

リンチならではの、登場人物のビジュアルスタイルがファンに肯定的に取り上げられています。

グロテスクな描写は、リンチならでは。


出典:iMDb


出典:iMDb

 


出典:iMDb

 

評価について

この映画を見た人のほとんどが、批判的な反応を示していますが、名作と呼ぶ人もいますし、良い点もたくさんあるというレビューもあります。

肯定的な評価

ビジュアルと美術デザイン:リンチ独特のダークで超現実的な映像美が一部のファンや批評家から高く評価されました。壮大なセットやデザイン、特殊効果は、今でも評価されています。

音楽:トト(Toto)が手掛けたサウンドトラックは、壮大で映画の雰囲気にマッチしていると称賛されました。

カルト的人気:公開後しばらくしてから、映画はカルト的な人気を得て、デヴィッド・リンチのファンや一部のSFファンから再評価されています。

カイル・マクラクランとの出会い


出典:iMDb

 

この映画において、デヴィッド・リンチにとっての収穫の一番は、主演俳優のカイル・マクラクランとの出会いではないでしょうか。

カイルは、まだ演劇業界しか経験していない弱冠23歳の俳優でしたが、リンチと出会い、主演に抜擢されます。

カイル自身も「何が起こっているのかわからなかった。」と回想します。

 

この出会いから「ブルー・ベルベット」、「ツイン・ピークス」と続く伝説が紡がれていきました。

おわりに

デヴィッド・リンチと『DUNE』の話は、苦い思い出とともに語られることが多いです。

ですが、リンチ自身も言っていましたが、これがあったから、のちの作品で絶対にファイナルカット権は渡さない、というポリシーに繋がったと思います。

リンチは、その独自性や作家性のためか、制作会社との衝突は避けられないでしょう。

それでも、既存の体制と闘うアーティスト、新しい風を持ち込もうとする先見性のある人ですね。

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